
温泉地でのお土産としてよく見るこけしですが、コレクターアイテムとしても有名なことをご存知でしょうか。
こけしは江戸時代末期頃に東北地方で誕生したと言われております。
要因としましては、湯治習俗が東北地方で厳しい農作業をしてきた農民にとって再生儀礼的意味合いであったことがまず挙げられます。1月の寒い時期には「寒湯治」田植えの跡には「泥落とし湯治」8月の暑い時期には「土用の丑湯治」と1年の中で最も暑さと寒さの厳しい時期や一番厳しい労働の後に湯治をすることで、ある意味リセットをしていたと考えられております。
またこけしによく用いられる「赤」は当時致死率の高かった天然痘から守る、邪を祓う魔除けの色という呪術的意味合いもあり、子供の手あそび人形として喜ばれ広く知られるようになったこともこけし誕生の一因でしょう。
そして木地師と呼ばれる椀や盆などの木工品を作る職人が湯治場に定着するようになり、湯治に訪れた農民と触れあい彼らの望む土産物としてこけしを作るようになったことも見逃せない要因と言えます。
こけしに込められた願いは心身回復という再生の意味合いと山の恵み・五穀豊穣とが重なった縁起物であり、その吉祥を農村に持ち運ぶという一連の様式がこけし文化の根幹にあり、今日までコレクターをはじめ様々な人に愛されている理由と言っても過言ではありません。
こけしの魅力はなんといっても木製・手作りならではの温かみにあり、また値段もお手頃なところから100本、200本と蒐集されているコレクターの方も少なくありません。
ただ昨今の生前整理や終活、断捨離ブームにより蒐集されたこけしをお手放しになるコレクター様も少なくありません。しかしここ数年こけしブームでもあり実は高額査定・買取りのチャンスでもあるのです。
こけしを売るなら今!
こけしにはこれまで昭和初期の民芸運動(民藝運動)と重なった第一次こけしブーム、昭和30年代の高度経済成長期の第二次こけしブームとあり、そして2010年代から今日までを若い女性を中心とした第三次こけしブームと呼ばれており、今注目されています。これまで女性は刀剣ブームなどを作ってきましたが、こけしにも「こけ女」と呼ばれる方々がブームを引っ張っており業界として盛り上がりを見せております。
こけしは手作りである「一点もの」であるところが同じように一点ものを大切に思う彼女達の感性にマッチし、ポップなサブカルチャー的要素で扱われ、こけしの工人のところまで足を運ぶ彼女達の行動力が東北を元気にしている側面もあり、非常に高く評価されております。
こういったこけしブームと従来のこけしコレクターの相乗効果により需要が高まっており、こけしのご売却をご検討でしたら今の時流に乗るのが賢明と言えます。
では次に「どんなこけしが売れるのか」紹介したいと思います。
こけしには「伝統こけし」「創作こけし(新型こけし)」そして「キャラクターこけし」とありそれぞれ趣きが異なります。
伝統こけしとは師から弟子へそれぞれの地方独自の型・様式を継承しているこけしになります。一般的には東北地方11系統ほどに分けられ、地域ごとに特色が見られるのが魅力のひとつです。
土湯系(福島県)
頭が小さく胴が細いのが特徴のひとつです。頭には黒の蛇の目模様が描かれ、前髪と鬢(びん)の間に「かせ」と呼ばれる赤色の模様が入ります。かせは恐らく「水引手」という御所人形に用いられた頭部の模様が原型になっていると言われています。土湯系のかせの種類も多岐に渡り見どころでもあります。
表情は鯨目にたれ鼻、おちょぼ口で胴の模様は轆轤引きの横縞模様になります。また土湯系でもある中ノ沢の「たこ坊主」は他のこけしとは一風変わったギョロ目の歌舞伎のような風貌で人気のあるこけしのひとつです。
弥治郎系(宮城県)
頭は大きく頭部にベレー帽のような多色の輪線模様が入るのが特徴のこけしです。胴にはくびれがある女性的な形をしたものもあり、太い轆轤模様、襟や裾をシンプルに意匠化したものが様々な色で描かれカラフルな色彩も魅力のひとつです。
遠刈田系(宮城県)
頭は大きくなで肩の細い胴が特徴と言えます。また頭頂部には「手絡」と呼ばれる赤い放射線状の飾りや額から頬にかけ八の字状の赤い飾りも描かれ全体的に可愛らしい雰囲気のこけしです。切れ長で細い目で描かれるその表情は可愛らしさの中に品のよさも感じます。それでいて他にもおかめの様なひょうきんな表情のものもあったりと多様性があります。
胴の模様は菊や梅を重ねた模様や木目模様に描かれることが一般的です。
鳴子系(宮城県)
鳴子系の特徴は頭がはめ込み式で回すとキィキィ、キュッキュッと音が鳴るところです。胴体はどっしりとしており安定感があります。前髪を水引で結んだ様な髪型で描かれるのも特徴のひとつです。胴体には菊の花、楓や撫子が描かれるのが一般的です。
作並系(山形県)
頭は小さく胴も細いのが特徴です。安定をよくするため台をつけたものもあります。この胴の細さはこけしが元々子供が握って遊んでいた歴史があり、そのことを色濃く残したからだと言われております。
胴には「カニ菊」と呼ばれる、カニに似た菊花模様や、赤黒二色の牡丹風花模様で描かれることが代表的です。
肘折系は鳴子系と遠刈田系の混合した系統と言われており、形態は鳴子系、描彩は遠刈田系の影響が見受けられます。
頭部は遠刈田のような赤い放射状の模様もあり、胴体には菊模様や黄色の塗りこみがあるのも特徴になります。
表情もニンマリとしたものやニヒルなものもあり非常に愛らしいこけしと言えます。
蔵王高湯系は遠刈田系から別れて発達した系統になります。頭部にはやはり赤い放射状の模様が描かれることも多いのですが、おかっぱ頭や扁平頭のものもあり独自性があるのが特徴です。胴には菊や桜の他に様々な植物模様が描かれております。
木地山/川連系(秋田県)
木地山・川連系の特徴は頭と胴が一本の木で作られる「作り付け」です。らっきょう形とも称されるそのフォルムも見逃せません。胴には菊や着物の縞模様が描かれることが多く、中には梅や絣の前垂れも描かれるものもあります。
南部系は頭がはめ込み式ですが緩く、クラクラと動くことが特徴です。南部系には「キナキナ」と呼ばれる彩色のない無地のこけしがあるのですが、キナキナとはおしゃぶりであり、南部系はこのキナキナの構造を元にこけしへ発展させたと考えられております。
胴の中央が膨らんだものやくびれたものなど伝統こけしの中では比較的自由な造形にも見えます。
津軽系は一本の木から作られる作り付けと鳴子系の影響からはめ込み式で作られるものもありますが、その最大の特徴は独特の模様でしょう。
胴には津軽藩の家紋でもある牡丹やねぶたを彷彿させるダルマ模様、そして縄文土器のようなアイヌ模様などがダイナミックに描かれます。青森県出身の棟方志功も津軽系こけしの絵付けをしたことがあり、他の系統に比べ工人の特色が強い伝統こけしと言えます。
以上が主な伝統こけしの系統になりますが、「人気のある工人」作ですと高額での買取りの可能性がございます。
例えば津軽系では盛秀太郎は人気のある工人の一人です。津軽系は上述しましたダルマ模様やねぶたのような模様の伝統こけしです。
このように伝統こけしは「系統」と「工人」に是非ご注目くださいませ。
そして伝統こけしには伝統ゆえの歴史があります。「古さ」もポイントになりますのでご留意ください。

古作・佐藤丑蔵 買取価格4万円
創作こけしとは、伝統こけしの伝統性ではなく、工人の自由な発想により作られるこけしのことで、作家性が強く出るのが特徴です。
その中でも最も有名なものが卯三郎こけしです。
卯三郎こけしとは群馬県発祥の新型こけしになります。今では海外へ市場を拡大し、日本国内のみならず海外でも知られるようになったこけしです。
※伝統こけしの工人の中でも遠刈田系の佐藤丑蔵など創作作品を多く制作した工人もおり人気があります。
創作こけしの工人には内閣総理大臣賞などを受賞した方もおり、彼らの作品は高額買取りの対象になる可能性があります。創作こけしは共箱や立札、栞なども重要な査定ポイントとなりますのでその有無もご確認ください。
こけし買取りのポイントは「系統」「古さ」「作家性の有無」にあります。この中で最も見極めの難しいものが「古さ」です。
一見汚れていて色もかすれており古く見えるこけしがあるかもしれません。しかしこけしは木製ということから保存の仕方で著しく差の出る民芸品でもあります。乾燥にも弱く割れてしまうケースもよく見受けられます。
そういった状態のこけしは古くは見えますが本当に古いものか判断がなかなかつきません。殊にこけしにそれほどご興味のない方ですとどれも同じに見えるかもしれません。
こけしの価値が知りたい方は買取り業者の査定にご依頼するのが得策でしょう。
お持ちのこけしに対し、どこまで説明ができ、きちんと鑑定ができるのか、買取り業者の取捨選択が必要不可欠です。またその業者の販路も重要なポイントです。こけしは小売りもきく民芸品ですので店舗販売できるか否かも判断材料となり得ます。
弊社・呂芸は1985年より杉並区で古布・骨董品そして民芸品を扱って参りました。販路はBtoB、BtoC、eコマースそして店舗販売による小売りと多岐に渡ります。私たち呂芸にはこけし専門の査定員もおり、こけし鑑定に関しては自信がございます。もし、こけしご売却をお考えでしたらお気軽に私たち呂芸にご相談くださいませ。
LINEなどweb査定もしておりますのでご遠慮なくお問い合わせください。もちろん無料で対応させていただいております。
皆様方の大切にされていきたこけしをご売却の際は、ぜひ呂芸にお任せ下さいませ。