古布・骨董コラム
2023.08.17
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能面・能装束

長澤氏春とは誰か?能面高額買取について知っておくべき5つのポイント

 

長澤氏春【大癋見】参考買い取り価格30万円

 

長澤氏春についてご存じですか?

 

能面などの工芸品・美術品が高額買取の対象となる条件のひとつとして、作者が著名な人物であることが挙げられます。

長澤氏春は、日本を代表する能面師の一人です。長澤氏春の作った能面は価値が高く、高額買取になる可能性が高いです。

 

この記事では、能面師についてや、能面の高額買取のポイントについて、長澤氏春の半生や功績なども交えて解説していきます。

長澤氏春や能面に興味があるという方、もしくはご自宅に能面があり、どのような品物なのか知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

 

能面師とは

能面師とは、日本の伝統芸能である能や神楽で使われる面を作る職人のことを指す言葉で、面打師(めんうちし)と呼ばれることもあります。

 

能面を制作することを「打つ」と表現します。

能面師が打った面は、能において、人ではないものを演じる主役(シテと呼ばれます)が着用します。

シテは、舞台上で生身の人間としてではなく、異界の者になりきることが求められます。

能面は曖昧な表情で、左右非対称に作られていることが多いのですが、これは、舞台上で角度によってさまざまな表情に変化させることで、シテの感情を表現するためのものです。

ひとつの面で、さまざまな表情を演出する能面は、彫る技術に加え、面の材料である木材や、着色時に使用する顔料の知識も必要になります。

面の陰影によって喜怒哀楽を表現できるよう、多角的に面を確認する丁寧さが能面師には求められます。

能面師と演者の力量が合わさることで、どんな表情も表現することが可能となるのです。

 

能のルーツは、奈良時代に中国から渡来した「散楽」だといわれています。

その後、日本風の猿楽となり、その時代ごとの権力者に愛され広まっていきました。織田信長や豊臣秀吉も能の愛好家だったことが知られています。

そして江戸時代には、能は幕府の式楽として保護されるようになり、能面の制作者が多く生まれ、能面の文化が花開きました。

 

能面の種類

能面の種類は約250種類といわれており、多くの能面が伝承されています。

室町時代から安土桃山時代に打たれた面を本面と呼び、その後は、その基本形を模倣・再現しています。

種類は多いですが、ある程度系統が分かれています。

 

能面の主な系統は以下のとおりです。

 

・翁面(おきなめん)

・女面(おんなめん)

・男面(おとこめん)

・鬼面(おにめん)

・狂言面(きょうげんめん)

 

能面の材質

材質はヒノキが一般的です。キリでできているものもあります。

ヒノキは木目が比較的そろっていて彫りやすく、寿命も長いことから、能面に使われるようになったと考えられています。

 

木取りをした後、最初は荒くけずって大まかな形をとり、徐々に細かく彫り進めて目鼻口の穴を開け、面裏の漆塗りをするのが一般的な作り方です。胡粉や膠を用いて下地・上地を塗り、古色を施し、毛描きなどの工程を経て完成させます。

  • 人間国宝「長澤氏春」について

長澤氏春【若女】参考買い取り価格15万円

  • 長澤氏春は著名な能面師で、人間国宝です。

    人間国宝とは、日本の文化財保護法第71条第2項に基づき同国の文部科学大臣が指定した重要無形文化財の保持者として各個認定された人物を指す通称です。

    長澤氏春は、日本の能面師では、ただ一人の無形文化財選定保存技術保持者でした。

     

    人間国宝でありながら、気さくな人柄でお客様の家にも来て下さったようです。

     

    主な経歴は以下のとおりです。

     

    1912年 京都市等持院北町にて誕生

    1937年 日中戦争のため応召される

    1952年頃 能面の制作に専念する

    1979年 無形文化財選定保存技術保持者に認定される

    1983年 勲五等瑞宝章を受章する

    2003年 逝去

     

    長澤氏春は、1912年に京都市で生をうけました。長澤家は代々京都御所に出入りする「檜皮屋(ひわだや)」という屋号の名字帯刀を許された由緒ある植木職でした。

    そして、等持院北町から北野神社前までの広い土地を所有していた大変裕福な家柄でもありました。当時の人々の服装がまだ着物と下駄という時代に、少年時代の氏春はは洋服と帽子に革靴で小学校へ通っていたそうです。

    しかし、父の代になると、家は傾き始めます。

    パン屋、カメラ屋、ミシン屋など、目先の新しい事業に手を出しますが、どれも上手くいかず、やがて没落してしまいます。

    生活は一変し、氏春は遠い親戚である、面打師・橘清伍(たちばなせいご)師のところへ連れていかれ、ここから、氏春の能面師としての人生がはじまりました。

    生まれつき器用だった氏春がすぐに仕事を飲み込み、どんどん上達していきました。

    しかし、その後戦争がはじまり、氏春も応召されることになります。

    戦中・戦後は面も売れず、食べていくために様々な仕事をしたようです。

    氏春が能面に専念できるようになったのは40歳ごろ。

    67歳のとき、面打師としては初めての無形文化財選定保存技術保持者に認定され、さらに昭和58年、勲五等瑞宝章を受章するまでになりました。

     

    能面には多くの種類がありますが、最も打つのが難しいと言われている女面を氏春は得意としていました。

    このような経歴の長澤氏春の能面は、人気も高く、高額買取の対象になるのも納得です。

     

    能面の高額買取のポイント

    能面は各地の美術館に展示されるなど、大変人気の高いお品で、骨董品としても人気のジャンルです。

    特に作家が著名な場合は、高額買取の対象になります。

    長澤氏春の能面の中でも、とくに高額買取になるお品のポイントをまとめましたので、参考にしてください。

     

    ポイント①作行が優れている

    出来が良いかどうかは骨董品を査定する上で重要なポイントの一つです。見た目が美しいお品は、人気も高くなり、高額買取の対象となりやすいです。

     

    ポイント②種類の希少性

    能面の種類の中でも数が少ないものは高く売れる可能性があります。

    大勢いる能面師の中でも、長澤氏春は人間国宝であり、彼の作品は希少性があると言えます。

    しかし、近代の作家であるため、出回っている作品の量は、古い時代の作品よりも多くなります。

     

    ポイント③状態が良い

    どんな骨董品にも言えることですが、壊れていないか、傷がないか。瑕疵がないかは重要です。

     

    ポイント④共箱がある

    作者本人の箱書き(共箱)があると高額査定につながる可能性があります。

    共箱などの付属品も大切にしてください。

     

    ポイント⑤本人が得意とする分野

    作家本人が得意とする分野の品物は、作行が良いものも多く、代表する作品が多くなります。

    長澤氏春は、能面のなかでも、最も難しいとされている女面が得意な能面師でした。長澤氏春の女面は、世間の評価も高いので高額査定につながる可能性があります。

     

  • 長澤氏春作の能面の買取は銀座呂芸まで

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この記事を書いた人

東京美術倶楽部 桃李会
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丹下 健(Tange Ken)

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