江戸期刺繍
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ご実家の片付けや遺品整理で軍刀が見つかり、「どのように処分すればよいのか」「古く錆びているけれど売れるのか」とお困りではありませんか。長年、押し入れや蔵に保管されていた軍刀は、ご家族にも詳しい由来が分からず、扱いに迷うことが少なくありません。故人が大切にしていた品であれば、単に処分するのではなく、その歴史や価値を確かめてから手放したいとお考えになる方もいらっしゃいます。
軍刀には、刀身だけでなく、柄や鍔、鞘などの外装にも鑑賞や収集の対象となるものがあります。一見すると似た姿でも、刀身の製法や時代、銘の有無、外装の種類、保存状態によって評価は異なります。古い日本刀を軍刀の外装に収めたものもあるため、「軍隊で使われていた刀だから」「錆が出ているから」という理由だけで、価値がないと判断することはできません。刀緒や収納袋、当時の写真、所有者に関する資料などが残っていれば、来歴を調べる手掛かりになる場合もあります。
軍刀の処分を考える際は、まず付属する書類を確認することが大切です。特に「銃砲刀剣類登録証」があるかどうかは、その後の対応を考えるうえで重要な確認事項となります。登録証が見当たらない場合や、そもそもどのような刀なのか分からない場合は、ご自身の判断で持ち運んだり、発送したりせず、保管場所を管轄する警察署へ相談してください。軍刀は見た目だけで取扱いを決められないため、状態や書類に応じて確認を進める必要があります。
また、査定前に見栄えを整えようとして、刀身の錆を削ったり、金属磨きで磨いたりすることは避けましょう。研磨や分解には専門的な知識が必要で、自己流のお手入れが傷や部品の破損につながるおそれがあります。鞘から抜きにくい場合も無理に動かさず、発見時の状態を保つことが大切です。箱や付属品、関連資料も処分せず、まとめて確認できるようにしておくと、相談が進めやすくなります。
軍刀を手放す方法は、品物の内容や必要な手続き、ご家族の意向によって異なります。買取を希望する場合は、日本刀と軍装品の双方に知識を持つ専門業者へ相談し、刀身と外装、それぞれの価値について説明を受けるとよいでしょう。大切に受け継がれてきた軍刀だからこそ、まずは正体と状態を確かめ、納得できる方法で整理することが大切です。処分に迷われている方は、登録証や付属品の有無を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。
軍刀は、明治から昭和にかけての日本の軍事制度と、古くから受け継がれてきた日本刀の文化が交わる中で成立した刀剣です。現在では遺品整理や実家の片付けで見つかることもありますが、その姿や製作方法、伝来は一様ではありません。処分を考える際にも、軍刀がどのような歴史を持つ品なのかを知ることで、残された刀身や外装、関連資料の意味を理解しやすくなります。
以下では、軍刀の成立から戦後の扱いまでを、時代の流れに沿って解説します。
目次
1.軍刀とは何か――日本刀との関係
軍刀とは、軍人が職務や軍装に伴って携帯した刀剣を指す言葉です。ただし、「軍刀」という名称だけで、刀身の製法や年代まで特定できるわけではありません。軍刀を理解するうえで大切なのは、刀身と外装を分けて考えることです。
刀身とは刃のある本体を指し、外装とは柄、鍔、鞘、金具など、刀身を収めて携帯するための装具を指します。この外装は「拵え」とも呼ばれます。軍刀らしい外観を持つ品でも、内部には江戸時代以前の日本刀が収められている場合があります。一方で、軍用の需要に応じて近代的な製法で作られた刀身もあります。
つまり、「日本刀」と「軍刀」は、必ずしも互いに対立する分類ではありません。伝統的な製法による日本刀が、軍刀として使われることもあったのです。現在の登録制度でも、軍刀と呼ばれる品であっても、伝統的な製作方法によって鍛錬され、焼き入れを施された日本刀であれば、登録の対象となり得ることが示されています。茨城県教育委員会
このような構造を理解せず、外見だけで「量産された軍用品」と判断すると、刀身が持つ歴史を見落とすことになります。逆に、軍刀の外装が付いているという理由だけで、刀身を伝統的な日本刀と断定することもできません。
2.明治維新と廃刀令による刀の役割の変化
江戸時代まで、刀は武器であると同時に、武士の身分や家の由緒を示す存在でした。刀身だけでなく、装具の意匠や仕立てにも、所有者の好みや社会的な立場が反映されていました。
しかし、明治維新によって身分制度と軍事制度が大きく変わると、刀を携帯する意味も変化していきます。近代国家の軍隊が整備される中、武士が日常的に帯刀する社会から、軍人や警察官などが職務に応じて刀を携帯する社会へと移っていきました。
その転換を象徴する出来事が、1876年、明治9年の廃刀令です。廃刀令では、大礼服着用の場合や、軍人・警察・官吏などが制服を着用している場合を除き、帯刀が禁止されました。ここで押さえたいのは、刀の所有すべてを一律に禁じる内容ではなく、主に帯刀を規制したという点です。archives.go.jp
そのため、各家に伝わる刀がすべて失われたわけではありません。家宝として保管された刀、売却された刀、後に軍人となった子孫へ受け継がれた刀など、それぞれ異なる道をたどりました。
軍刀の歴史は、こうした近世から近代への移行と結び付いています。外装は近代の軍装に合わせて変わっても、内部の刀身には、それ以前の時代から続く家の歴史が残されていることがあるのです。
3.西洋式軍隊の整備とサーベル型軍刀
明治時代の日本は、西洋諸国の制度を取り入れながら陸海軍の整備を進めました。軍服や装備の洋式化に伴い、軍刀の外装にも西洋のサーベルを意識した様式が用いられるようになります。
サーベル型軍刀には、手を保護する護拳や金属製の鞘など、従来の日本刀の拵えとは異なる特徴があります。洋式の軍服と組み合わせて携帯する姿は、明治期以降の軍装を象徴するものの一つでした。
ただし、サーベル型の外装だからといって、必ず外国製の刀身が入っているわけではありません。日本刀の刀身を洋式の拵えに合わせた例もあり、刀身と外装が異なる文化的背景を持つことがありました。名古屋刀剣博物館の解説でも、日本刀をサーベル型の外装に収める際の構造上の問題や、両手で扱うことを考えた外装について紹介されています。
また、軍装に伴う刀剣には、実用を意識したものと、礼装や儀礼の性格が強いものがあります。一般に「指揮刀」「儀礼刀」「サーベル」などの呼称が使われますが、名称だけで実際の刀身の性質まで判断することはできません。
現在残っている品を見る際にも、護拳の形や鞘の材質だけでなく、どのような用途や制度のもとで用いられたかを調べる必要があります。軍刀は刀剣史の資料であるとともに、近代日本の服飾史や制度史を知る資料でもあります。
4.昭和初期に進んだ日本刀様式への回帰
昭和初期になると、陸軍の軍刀には、日本の伝統的な太刀を意識した外装が取り入れられるようになります。これは、江戸時代の武士の差料をそのまま復活させたものではなく、近代軍隊の装備として日本的な様式を採用したものでした。
太刀は、一般に刃を下に向けて腰から吊るして携帯します。一方、打刀は刃を上に向けて帯に差す形式です。昭和期の代表的な軍刀は、吊って携帯する構造を持ち、太刀の様式を連想させる姿となっています。
柄巻や鮫皮、鍔、桜を取り入れた金具などにも、日本刀の装具と近代の軍装が組み合わされた特徴が見られます。これらは装飾としてだけでなく、身分や所属を表現する軍装の一部として理解する必要があります。
軍刀の外装を調べるときは、全体の印象に加え、各部品の形や組み合わせに注目します。ただし、長い年月の間に修理や部品交換が行われていることもあり、現在の姿が製作当初の状態を保っているとは限りません。
外装の様式は年代を考える手掛かりになりますが、それだけで製作年や使用者を断定することは避けるべきです。
5.九四式・九八式・九五式軍刀の登場
昭和期の陸軍軍刀を知るうえで、代表的な名称として挙げられるのが九四式、九八式、九五式です。
1934年、昭和9年に制定された九四式軍刀は、将校用の軍刀として知られています。続いて1938年、昭和13年には九八式軍刀が登場しました。外装を比較する際の代表的な着眼点の一つが、腰から吊るすための環の構成です。九四式では二つの環を備え、九八式では一つとなることが、一般的な特徴として説明されています。meihaku.jp
一方、1935年、昭和10年に登場した九五式軍刀は、下士官用などとして支給された官給軍刀です。個人で調達される将校用軍刀とは性格が異なり、刀身と外装の規格化が進められました。
この違いは、現在の品物を理解する際にも重要です。将校用軍刀では、所有者の事情によって刀身や外装の内容に幅が生じますが、官給軍刀では規格や製造上の特徴が調査の手掛かりになります。
ただし、古い品には後年の組み替えや補修もあります。形式名を一つ当てはめれば、刀身から付属品までのすべてが分かるわけではありません。外装、刻印、製造番号、刀身の状態など、複数の情報を合わせて考える必要があります。
6.海軍軍刀に見られる特徴
海軍の軍刀も、近代の軍装制度の中で独自の変遷をたどりました。陸軍軍刀と同様に、西洋式の影響を受けた外装から、日本刀様式を取り入れた外装まで、時代によって姿が異なります。
軍刀の歴史を調べる際には、陸軍と海軍を一括りにしないことが大切です。軍服の制度や勤務環境が異なれば、装具に求められる性質や外観にも違いが生まれるためです。
海軍軍刀では、鞘の仕上げや柄の意匠、金具の構成などが確認の対象になります。ただし、色や一つの装飾だけで所属や年代を断定するのは適切ではありません。退色、補修、部品の交換なども考慮する必要があります。
また、「海軍の軍刀だから刀身もすべて同じ製法」と考えることはできません。外装の分類と、内部の刀身の製作方法は、別々に確認する必要があります。
これは処分や査定の際にも共通する基本です。外装の軍装史的な意味と、刀身の刀剣としての性質を、それぞれ確かめることで、一振りの成り立ちをより正確に理解できます。
7.軍刀の需要拡大と多様な刀身
戦争の拡大に伴う軍刀需要の増加は、刀身の製作にも影響を与えました。伝統的な作刀だけでなく、供給量や製造効率を意識した多様な製法が用いられるようになります。
このため、昭和期の軍刀をすべて同じ品質や性質の刀剣として扱うことはできません。同時代に作られたものであっても、材料、鍛錬、焼き入れ、仕上げなどの内容が異なります。「昭和刀」という呼称についても、使用される文脈に注意が必要です。
一方、軍刀の需要に応じながら、伝統的な日本刀の製作を続けた取り組みもありました。その一例が靖国刀です。1933年、昭和8年に発足した日本刀鍛錬会の刀匠たちが、靖国神社境内の鍛刀場で作刀を行いました。靖国刀は、玉鋼を用いた伝統的な作刀による軍刀として紹介されています。meihaku.jp
軍刀の製作をたどると、近代工業による規格化と、伝統技術の維持が並行していたことが分かります。軍刀は単に古い武器というだけでなく、近代日本のものづくりの変化を映す存在でもあります。
なお、銘があることだけで伝統的な製法や作者の真実性が保証されるわけではありません。銘、地鉄、刃文、姿などを総合的に調べる必要があります。
8.家伝の刀と軍刀に残された来歴
軍刀の中には、各家で長く受け継がれてきた日本刀に、軍刀用の外装を取り付けたものがあります。その場合、刀身と外装では、作られた年代が大きく異なることになります。
例えば、刀身は江戸時代の作でありながら、外装は昭和期の軍刀という組み合わせも考えられます。このような品では、刀身の作者や時代を調べることと、軍刀として使用された経緯を調べることの、両方が意味を持ちます。
来歴を知る手掛かりとしては、当時の写真、収納袋、箱の書付、所有者に関する記録、手紙などが挙げられます。写真に写る外装と現物の特徴が対応すれば、使用状況を考える参考になる場合があります。
ただし、口伝や同じ場所から見つかった資料だけで、使用者や戦地を断定することはできません。「祖父の物と聞いている」という家族の記憶も大切ですが、確認できる記録と分けて残しておくことが望まれます。
遺品整理の際には、軍刀だけを取り出し、周辺の資料を先に捨ててしまうと、来歴を調べる機会が失われることがあります。品物と記録を一緒に確認する姿勢が、歴史を残すことにつながります。
9.終戦と刀剣の接収、戦後の保存
1945年、昭和20年の終戦は、軍刀の役割を大きく変えました。軍隊の装備として用いられていた刀は、その制度的な役割を失い、占領期の武装解除や刀剣の接収の中で、さまざまな運命をたどります。
国外へ渡ったもの、失われたもの、国内で保管されたものがあり、現在の所在や保存状態にも違いが生じました。国外に残る軍刀を調べる際にも、いつ、どのような経緯で渡ったのかは、個別の記録によって確認する必要があります。
一方、日本刀を美術品として保存するための制度も整えられていきました。戦後の刀剣保存を考えるうえでは、武器としての規制と、美術品としての保存という二つの側面が重要になります。
現在の銃砲刀剣類登録制度では、美術品として価値のある刀剣類などについて登録を行う仕組みが設けられています。軍刀の外装があるかどうかだけで判断するのではなく、刀身が登録基準に適合するかが問題となります。歴史資料として興味深いことと、登録できることは、同じ意味ではありません。
この区別は、現在残されている軍刀を適切に扱うためにも欠かせません。
10.軍刀の歴史を踏まえた処分と継承
軍刀の処分を考えるときは、まず、その品がどのような成り立ちを持つのかを確認することが大切です。軍刀という呼び名の中には、古い日本刀、昭和期の伝統的な作刀、近代的な製法の刀身、儀礼的な刀剣など、異なる内容が含まれています。
外装にも、軍装の変遷や金工技術を知る資料としての意味があります。刀身と外装、付属資料を別々に処分してしまうと、その組み合わせが伝えていた情報を失う場合があります。
また、登録証は作者の真贋や市場価格を保証する鑑定書とは役割が異なります。登録に関する確認と、美術的・歴史的な評価は、それぞれ分けて進める必要があります。
登録証のない刀剣が見つかった場合には、発見場所を管轄する警察署へ連絡し、案内に従って対応してください。東京都教育委員会も、刀剣類を発見した際には、まず警察へ届け出る手順を案内しています。自分で持ち込む前に連絡して確認することが大切です。
軍刀には、日本刀の技術、近代の軍装制度、戦争の歴史、そして所有していた人や家族の記憶が重なっています。処分や売却に進む前に、書類と付属品を確認し、その背景を調べることが、納得できる整理への第一歩となります。
軍刀を手放す方法を調べると、「処分」と「買取」という二つの言葉を目にします。どちらも手元から軍刀を離す方法ですが、目的や品物の行き先、金銭の扱い、必要な確認事項には違いがあります。特に遺品整理や実家の片付けでは、軍刀の種類や登録状況が分からないまま判断を迫られることもあるため、まずは両者の違いを理解することが大切です。
一般に「処分」は、廃棄、売却、譲渡などを含む広い意味で使われます。そのため、買取も処分方法の一つといえます。ただし、相談の場面では「処分」が廃棄を意味することも少なくありません。ここでは、廃棄を中心とする処分と、専門業者などへ売却する買取を比較しながら解説します。
処分と買取の最も大きな違いは、軍刀を廃棄するのか、価値を評価して次の所有者へ引き継ぐのかという点です。廃棄は、必要な手続きを経て、その品物の保管を終える方法です。一方、買取は、適法に取引できる軍刀について、刀身や外装などの価値を査定し、代金を受け取って所有権を移す方法です。
ただし、所有者が売却を希望すれば、すべての軍刀を買い取ってもらえるわけではありません。刀身の性質、登録状況、保存状態、需要などによって対応は変わります。「古い軍用品だから自由に売れる」「遺品だから手続きなしで譲れる」と考えず、品物の内容を確認してから進める必要があります。
軍刀を整理する際、最初に理解しておきたいのが、刀身と外装の違いです。刀身は刃のある本体を指し、外装は柄、鍔、鞘、金具などを指します。外装は「拵え」とも呼ばれ、軍装の様式や製作時期を考える手掛かりになります。見た目には同じような軍刀でも、中に収められた刀身の年代や製法が異なる場合があります。
軍刀の外装に、江戸時代以前から伝わる日本刀が収められていることもあれば、昭和期に作られた刀身が入っていることもあります。また、近代的な製法による刀身と、伝統的な製法による日本刀では、登録に関する扱いも同じではありません。軍刀という呼び名だけで、処分方法や買取の可否を決めることはできないのです。
このため、買取では刀身と外装をそれぞれ確認します。刀身については作者や時代、姿、地鉄、刃文、傷などが調査の対象となり、外装については形式、金具、材質、保存状態、部品のそろい方などを見ます。廃棄では、これらの価値を調べることが主目的ではないため、価値を確かめたい場合は、廃棄の手続きを進める前に検討することが重要です。
ただし、価値の確認と、法律上必要な対応は分けて考えなければなりません。登録証のない刀剣を発見した場合には、査定のために持ち歩いたり、業者へ発送したりする前に、発見場所を管轄する警察署へ連絡してください。東京都教育委員会も、遺品や家屋の解体などで刀剣類が見つかった際は、管轄の警察署へ発見の届出を行う手順を案内しています。
軍刀の買取を進めるうえで重要な書類が、「銃砲刀剣類登録証」です。登録証は、対象となる刀剣が登録されていることを示す書類です。刀袋や収納箱、引き出し、古い書類の中などに保管されている場合もあるため、軍刀の周辺を確認するとよいでしょう。
登録証が見つかった場合も、それだけで直ちに売却できると判断するのではなく、現物と記載内容の対応を確認します。複数の刀剣を所有していた家庭では、別の刀の登録証が混ざっている可能性もあります。内容に食い違いがあるときは、自分で書き直さず、登録元の担当窓口へ相談することが必要です。
また、登録証と鑑定書は役割が異なります。登録証があるから高額になるわけではなく、記載された銘が作者の真作であることや、市場価格まで保証されるわけでもありません。買取価格を判断するには、登録の確認に加え、品物そのものの評価が必要です。書類の有無と査定額を混同しないことが、納得できる売却につながります。
登録証が見当たらない場合には、未登録なのか、過去に登録されていたものの書類を紛失したのかを確認する必要があります。登録番号の控えや古い写真、購入時の資料が残っていれば、確認の手掛かりになることがあります。登録済みと考えられる場合は登録元の窓口へ、登録の有無自体が分からない発見品は警察へ相談し、案内に従ってください。
登録の対象になるかどうかは、所有者や買取業者の希望だけでは決まりません。伝統的な製作方法や美術的な要素など、所定の基準に基づいて審査されます。そのため、「軍刀なら登録できる」「古ければ必ず登録される」といった説明には注意が必要です。登録審査と買取査定は、目的も判断基準も異なります。
廃棄を選ぶ場合にも、一般の不用品と同じように扱うことはできません。自治体のごみ収集に出したり、不用品回収業者へ他の荷物と一緒に渡したりするのではなく、まず警察署へ相談して対応を確認します。登録済みの刀剣について、大阪府は登録証とともに警察署で廃棄の手続きを行うよう案内しています。具体的な持参方法や書類の扱いは、事前に確認してください。
登録できなかった刀剣についても、通常の買取へそのまま進めることはできません。東京都教育委員会は、登録不可となった刀剣類は原則として所持できず、警察へ連絡して廃棄処理を依頼する方法を案内しています。歴史的な関心を集める品であることと、個人が適法に所持・売却できることは別の問題です。kyoiku.metro.tokyo.lg.jp
一方、買取は、適法に取引できる品物について、その価値を代金に換える方法です。廃棄では通常、所有者が売却代金を受け取ることはありませんが、買取では査定額に合意すれば代金を受け取れます。ただし、査定額が付くことや、希望額で売れることが保証されているわけではありません。
軍刀の査定では、刀身の作者や出来、保存状態に加え、外装の内容も確認されます。刀身に評価がある場合と、外装に収集対象としての価値がある場合では、説明の重点も異なります。査定を受ける際には「軍刀一式としていくらか」だけでなく、何が評価され、どのような点が減額につながっているのかを聞くと判断しやすくなります。
錆びている軍刀についても、外見だけで廃棄を決める必要はありません。錆の程度や位置、刀身への影響などによって評価は変わります。表面が汚れていても確認する価値がある場合はありますが、深い腐食や重大な損傷があれば、査定が厳しくなることもあります。「錆びていても必ず高く売れる」とは考えず、現状を伝えて相談することが大切です。
査定前に自分で錆を落としたり、研磨剤で磨いたりすることは避けてください。刀身の状態を変えてしまうと、傷が増えるだけでなく、専門的な確認が難しくなる場合があります。柄の内部を見ようとして無理に分解することや、固着した刀を力任せに抜くことも控えましょう。手入れや修復が必要かどうかは、先に専門家へ相談する方が判断しやすくなります。
外装についても同様です。鞘の塗装を塗り直す、金具を強く磨く、欠けた部分を接着するなどの作業は、元の状態を損なう可能性があります。買取を検討している段階では、見栄えを整えることより、発見時の状態を保ち、残っている部品をなくさないことを優先してください。
軍刀に付属する刀緒、収納袋、箱、写真、手紙なども、まとめて確認することが望まれます。これらが来歴を調べる参考になる場合があるためです。ただし、同じ場所から出てきたというだけで、すべてが当初から一組だったと断定できるわけではありません。家族から聞いた話と、書類で確認できる事実を分けて伝えると、調査に役立ちます。
遺品整理では、経済的な価値と同じくらい、ご家族の気持ちも大切です。廃棄すれば保管の負担を終えられますが、後から現物を取り戻すことは難しくなります。売却した場合も、必ず返してもらえるわけではありません。どちらを選ぶ場合でも、所有者や相続人の意向を確認し、必要であれば写真や来歴の記録を残してから進めるとよいでしょう。
「故人の品だから残したいが、刀身を保管することには不安がある」という場合には、外装を残せるか相談する方法もあります。東京都教育委員会は、登録できなかった刀剣の廃棄に際し、希望すれば拵えを取り外して持ち帰ることができると案内しています。ただし、自分で分解するのではなく、警察へ希望を伝えて取扱いを確認してください。
処分と買取では、相談先の役割にも違いがあります。警察は発見時の対応や廃棄などに関する相談先であり、都道府県の登録担当窓口は登録や書類の手続きに関する相談先です。買取業者は、取引可能な品物の査定や売却条件を相談する相手です。それぞれが同じ判断を行うわけではないため、何を確認したいのかを整理して連絡すると話が進みやすくなります。
買取業者を選ぶ際は、日本刀と軍装品の双方について説明できるかを確認するとよいでしょう。軍刀は刀身と外装で評価の観点が異なるため、一方だけの説明では全体像をつかみにくい場合があります。登録状況の確認を省いたり、根拠を示さず高額買取を約束したりする相手よりも、取扱いと査定理由を具体的に説明する相手を選ぶことが大切です。
費用についても、事前の確認が欠かせません。査定料、出張料、キャンセル時の費用、返送費などは業者によって異なります。また、登録に関する手続きや専門的な手入れに費用が生じる場合もあります。売却額だけを見るのではなく、最終的にどのような費用負担があるのかまで確認してください。売れるか分からない段階で、高額な修復を先に依頼する必要はありません。
写真による事前相談を利用する場合には、確認できる範囲に限界があることも理解しておきましょう。外装の全体像や登録証の有無は伝えられても、刀身の細かな状態や真贋まで写真だけで判断できるとは限りません。写真を撮るために無理に抜刀や分解をせず、まず現状のままで相談し、必要な情報について案内を受けるとよいでしょう。
買取が成立した場合には、代金の受領だけでなく、刀剣と登録証の引渡し、必要な届出の確認まで行います。登録された刀剣を売買などで取得した新所有者には、取得後20日以内に登録元の都道府県教育委員会等へ所有者変更を届け出る義務があります。売却時には、誰がどのように手続きを行うかを確認し、取引内容の分かる書類を保管しておくと安心です。
処分と買取のどちらが適しているかは、価格だけでは決まりません。登録状況、品物の内容、保管を続けられるか、ご家族が何を望んでいるかによって選択は変わります。価値を確かめてから手放したい場合は、必要な法的確認を進めたうえで査定を検討できます。廃棄を希望する場合は、警察へ相談し、案内に従って手続きを行います。
軍刀を整理する際に大切なのは、「古いから捨てる」「軍刀だから高く売れる」と決めつけないことです。まず書類と現物の状況を確かめ、刀身と外装の違いを理解し、適切な相談先へつなぐことが必要です。そのうえで、廃棄によって保管を終えるのか、買取によって次の所有者へ引き継ぐのかを選ぶことが、納得できる整理につながります。
関東一円を中心に、全国無料で出張買取いたします。
関東の方はすぐにお伺い致します。