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こんにちは「骨董古布はぎれアンティーク着物販売/骨董古布はぎれアンティーク着物買取りの呂芸」です。

本日は長野県松本市にお住いのご依頼者様宅にこけし人形の出張査定・出張買取りに行って参りました。

今回ご紹介したいのが土湯系こけしです。

東北地方の伝統こけしは津軽系、南部系、木地山系、肘折系、山形系、鳴子系、作並系、遠刈田系、蔵王系、弥治郎系、土湯系など11系統に分けられますが、今回ご紹介する土湯系こけしは福島県福島市土湯温泉で作られている伝統こけしのひとつです。こけし界の異形（褒め言葉）・たこ坊主（蛸坊主）が制作されている中ノ沢こけしも土湯系こけしに含まれます。岩本善吉から始まり岩本芳蔵に受け継がれた「たこ坊主」は今でも柿崎文雄や斎藤徳寿など多くの工人により今も人気のあるこけし人形のひとつです。

土湯系の伝統こけし人形の特徴は遠刈田系などに比べると頭が小さく銅もひょろっと細いことが挙げられます。胴体の模様は基本的にロクロ線模様が用いられ線と線の間に花などのモチーフが描かれることもあります。また土湯系こけし人形には轆轤を逆回転させ胴体に柔らかい線を引く「返しロクロ」という技法があり他の伝統こけし人形にはない意匠が見られます。

そして頭頂部に「蛇の目」と呼ばれる黒い輪の文様が描かれるのが土湯系こけし人形の最も顕著な特徴です。前髪と鬢（「びん」わかりやすく言うともみ上げ）の間に「かせ」と呼ばれる赤い髪飾りも描かれます。この「かせ」に工人の個性が出るのも土湯系こけし人形の見所と言えるのではないでしょうか。

ちなみに遠刈田系こけし人形や弥治郎系こけし人形にも頭部に赤い飾りが描かれるのですがこれは「かせ」とは呼ばず「鬢飾り」と呼びます（これ豆な）

今作の工人は西山憲一、大正9年に福島県土湯温泉に生まれ父・西山勝次の元、木地を学び昭和22、3年ごろよりこけし人形製作を開始します。作風は古作を踏襲して辨之助型・勝次型・作蔵型を製作し味わいのあるこけし人形を数多く残しております。

西山憲一は祖父を西山辨之助（弁之助）、父の西山勝次を持つサラブレッドです。この眉がつり上がって描かれる描写は祖父の西山辨之助（弁之助）の手癖を端に発していると言ってもいいのかもしれませんがアンバランスさが妙な素朴さとユーモラスさを演出した面白い意匠ですよね。

拝見したこけし人形は経年による劣化で色が消えてしまい文様が定かではなくなってしまったのが残念です。

お持ちの方は残念ながらお亡くなりになられご遺族様とのこけし人形の買取りではございました。ご依頼者様の御尊父は生前サラリーマンをされており出張や旅行の度にこけしをご購入されてこられ、いつしか百貨店などで催された工人の実演即売会などにも行かれるようになった熱心なこけしコレクターの方のようでした。民芸品や工芸品がお好きだったようで、こけし人形の他にも木彫りの熊や木彫の恵比寿様と大黒天などをご蒐集されておりました。家具も長野の老舗メーカー、長野民芸家具の家具を使われており木の良さ・木調の美しさに囲まれ生活されていたご様子が推察でき、私の憧れる生活スタイルのひとつです。

この度は木の温もりを感じるこけし人形をお譲り下さりありがとうございました。

「骨董品古布はぎれアンティーク着物販売/骨董品古布はぎれアンティーク着物買取の呂芸」では伝統こけし・創作こけし・人形、民芸品の買取りを強化しております。

飾らなくなった伝統こけしや人形などがございましたらお気軽にお問い合わせください。私たち呂芸が責任をもってお客様のこけしコレクションを次の方へ橋渡しさせていただきます。

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